【原因・対策】移動式クレーンの運転中に起きた事故事例って?

移動式クレーンの事故事例や原因と対策

 高所への積み荷運搬をする上で、欠かすことの出来ない移動式クレーン車。

 その利便性から、建設現場をはじめ様々な場所で利用されています。ただ、
多く使われているという事は、それだけ事故の発生件数も多くなっているため
原因と対策をしっかりと把握しておく必要がありますよね。

 そこで今回は、移動式クレーンの運転中に起きた事故事例及び原因と対策
ついてまとめていきます。
移動式クレーンの事故事例について

移動式クレーンの転倒事故
【移動式クレーンの事故見出し一覧】
 移動式クレーンと言っても、ユニック車やラフテレーンクレーンなど、
様々なタイプのクレーン車が存在しますが、今回はその中でもよく使用
されているラフターやユニック車で起きた事故事例をまとめていきます。

 今回ピックアップしたのは、転倒事故や吊り荷の落下など代表的な労働
災害事例
になるので、しっかり原因や対策を把握していきましょう。

事故事例一覧
  1. 吊り荷の落下事故
  2. 移動式クレーンの転倒事故
  3. ユニック車の転倒事故
  4. 小型移動式クレーンの転倒事故



事例1.吊り荷の落下事故

吊り荷が落下した図
【吊り荷が落下し作業者を直撃】
 まずは、吊り荷の落下事故の事例を確認していきましょう。

○発生状況
 最大積載量10tのユニック車で、鉄製枠外3本(計6本)を3本づつ2回に分けてトラックに積み替える作業を行なっていた。作業メンバーは、ユニック運転者、クレーン運転士a、合図者b、玉掛け者c.d.e.fの7名で進めていた。

 クレーン運転士aが玉掛け者に対し「ワイヤーロープは鉄枠のピンをかわして外側に掛けるよう」指示をして吊り上げ、トラックの荷台に降ろした。ユニック運転者はトラックの荷台に上がって荷降ろし位置の合図をしながらdと二人で玉掛け用ワイヤーロープを外した。無事に1回目の作業を終え、2度目の作業を行なうためbの合図で荷を吊りユニック運転者が荷台で荷降ろし位置を指示、付近にいたfが荷台に乗り2人で作業をした。

 4本掛けの1本(ユニックの前側)をユニック運転者が玉掛け用ワイヤーロープの片方のアイをフックに掛けたまま片方を外し、鉄枠の上に乗せていた。後方の1本をfが同様の方法で行おうとしたが鉄枠がトラックの荷台よりはみ出ていたので合図者dが「荷台からおりて作業するよう」指示をした。

 ユニック運転者は巻上げの合図をaに送り、積荷に背を向けて荷締め作業の準備に取り掛かった。巻上げ合図を受けたaが巻上げ始めたが、ユニック運転者が置いたロープが鉄枠の突出部に引っかかり、鉄枠が30cm程度浮き上がった。aはすぐに巻き下げを行なったが鉄枠が滑りだし地上に落下、そこにいたユニック運転者の腹部に鉄枠が直撃し下敷きになった。

 この事故は、クレーンの吊り資格(玉掛け)を持たない者が作業を行なったため
ミスが発生し吊り荷崩れが起こったというものです。

 この事故の原因としては、以下のものが考えられます。

○作業原因
  1. ユニック運転者は荷の積み降ろし作業をする資格が無いのに作業を行なった

  2. 作業開始前に有資格者の確認を怠った

  3. 無資格者に玉掛け作業を行わせたため、煮の起き方や玉掛けの方法が不十分であった。

  4. 荷台の上に乗り、後ろ向きになって作業をしていた。

  5. 所定の合図者ではない者の合図により巻上げ作業をした

 このように、資格を持たないものが作業を行うことにより、事故を起こす可能性が
高くなる
ことがわかります。では、これに対する対策はどのようなものが考えられる
でしょうか?

○対策
  1. 定められた作業以外には関わらない

  2. 作業前に有資格者を把握し、無資格者による作業を行わせない

  3. 荷締め作業は地上で行なうようにする
  4. 積荷の安定、クレーンのフックやワイヤロープ等の安全確認をしっかりと行なうこと

  5. 合図は一定の物を指名し、それに従って作業を行なう

 つまり、しっかりと役割分担を決めた上で、割り振られた仕事を個々が行なって
いれば事故を防止できた可能性が高かったと言えます。
 かつ、積荷の安全確認をしっかりと行なうことも事故防止に繋がるので、怠らない
ようにしましょう。


事例2.移動式クレーンの転倒事故

転倒した移動式クレーン車の図
【過負荷運転による転倒】
 次に、過負荷作業によるクレーン車の転倒事故を確認してみましょう。

○発生状況
ボックスカルバートのコンクリート打設用壁型枠部材を吊り上げ、90度旋回し所定の位置に降ろすためジブを下げる途中、過負荷警報装置が鳴り出したのでスイッチを切ると同時に、過負荷防止装置が作動しないようシステムのスイッチを手製の金具で「切る」に保ち、再びジブを降ろした。

 巻上げの合図により、打設用壁型枠部材の巻き下げを開始したところ前方アウトリガが浮いたように感じられたので、転倒を回避しようと巻き下げを行なったが後方アウトリガを支点とし完全に倒立した形に転倒し、第二ジブから第四ジブまでが折損した。

 これは、過負荷警報装置が作動していたにも関わらず強行して作業を行なった為に
起きた事故と言えます。

 他に考えられる原因として、どのようなものがあるか確認していきましょう。

○作業原因
  1. 過負荷警報装置が作動したのに無視して作業を行なった

  2. 過負荷防止装置が作動しないように予め金具を用意していた

  3. 工事施工計画書作成時に、作業内容を考慮した移動式クレーンの種類及び能力を指示していなかった

 作業に適していないクレーン車を利用したためこの事故は起きてしまい、かつ作業
中に気づいたにも関わらず強行したことが最悪の結果を招いたことがわかります。

 では、この場合の対策にはどんな事が考えられるでしょうか?

○対策
  1. 移動式クレーンの安全装置について常時有効に作動する様に徹底する

  2. 工事施工計画書を作成する段階で吊り荷の重量を考慮し、クレーンを選定しておく

  3. 現場の安全管理体制を強化するとともに、運転者に対しての安全教育を徹底する

 今回のケースの場合、ルールを順守していれば事故が起こる可能性は極めて低いと
言えるため、現場では安全教育を徹底することが事故を防止する最善策と言えます。


事例3.ユニック車の転倒事故

ユニック車で作業する人
【積込み中にユニック車が転倒】
 次に、積込み中に起きたユニック車の転倒事故を確認していきましょう。

○発生状況
 ユニック車で約1tの固化材を吊り上げ旋回中に、クレーンが転倒し被害者がクレーンと共同溝手摺柵に腕を挟まれた。

 現場は、掘削された軟弱な土であったため、一旦残土置き場に仮置きし固化材を添加し土質を調整した後に指定処分場に運んでいる。作業者は、この固化材を添加する作業に従事していたが、固化材が不足したのでユニック車で取りに行き、アウトリガーを中間張出しにして積込み作業を開始した。

 固化材は布製の袋に詰められ、1袋の重さは約1tである。固化材2袋をトラックの荷台に積込み、3袋目を吊り上げて前方右旋回をはじめたところクレーンが右側に転倒した。災害発生当時の当該ジブクレーンの長さは5.56m、作業半径4.09m、その際の定格荷重は1.66tとする。

 これはクレーンの吊り荷重に対し、それ以上の物を吊り上げたことにより発生した
事故と言えます。

 他には、どんな原因が考えられるか確認していきましょう。

  1. 災害発生時の作業半径は4.09mで、アウトリガーの最大張出しで定格荷重1.66t、中間張出しの場合は50%で、すでに過荷重であるにも関わらず作業を行なっていた。

  2. アウトリガーが敷設されている鉄板の端部が不安定な位置にあり、鉄板上より滑り落ちた事も考えられる

  3. 作業者と事業者の間で、作業方法に関する打ち合わせや検討が十分にされていなかた

  4. 作業員に対する安全衛生教育が不十分であった

 この場合も、作業者に対する安全教育がしっかりとされていれば、防止できた事故
と言えます。

 では、これの対策にはどのようなことが考えられるか確認していきましょう。

  1. アウトリガーを張り出す場所、ユニック車の停車位置は安定した場所を選定する

  2. 荷重計等をしっかりと確認しながら作業を行なう

  3. 現場内の指揮命令系統を明確にし、それぞれの作業方法を十分に検討した上で行なう

  4. 安全衛生教育体制を整備し、作業マニュアルや作業標準を作成しておく

 作業現場で各役割をしっかりと選定しておき、それに沿った作業及び作業環境の
管理をしっかりと行なう事により、事故を防止する様にしましょう。


事例4.小型移動式クレーンの転倒事故

小型移動式クレーンの作業図
【合図者を巻き込んだ転倒事故】
 小型移動式クレーン(カニクレーン)を用いて作業を行っていた際に起きた事故
事例を確認してみましょう。

 1回床の開口部横にカニクレーンを設置し、型枠支保工を1階の開口部横に吊り上げるため空荷の状態で2段目のジブを伸長し待機していたところ転倒した。

 1階開口部の反対側で合図を行なっていた合図者に倒れてきたジブの先端が直撃し、床の間に腰を挟まれた。

 この作業は、作業指示書に基づき行われていたが、午後から運転者が交代していた事により作業指示の基に行われていないことが後に判明した。

 これは、作業者が交代し作業指示を確認せずに行なったため招いた事故と言えます。

 他には、どの様な原因が考えられるか確認していきましょう。

  1. アウトリガー自動検出装置がなく、アウトリガーを貼りださなくても使用可能なものだった

  2. カニクレーンを用いる作業について事前に作業方法、転倒防止策、労働者の配置、作業計画の周知徹底がされていなかった

  3. カニクレーンの作業環境による転倒の恐れが把握されないまま作業が行われた

 つまり、クレーンの作業環境による転倒リスクを把握しないまま作業を行なった
作業計画が周知されていなかった事などが原因になった事が考えられます。

 では、この対策としてどの様な事が考えられるか確認していきましょう。

  1. カニクレーンを使用する際は、最大限にアウトリガーを張り出す

  2. 作業内容、指揮の系統、合図の方法、カニクレーンの特性をしっかりと把握しておく

  3. 作業者が交代した場合は、交代者にもしっかりと作業確認を行なう

  4. 作業環境に適したカニクレーンを使用する

 作業中に運転者等が交代することは、日常的によくある事だと思います。

 その際は、交代者への作業指示を怠らずしっかりと確認作業を行なうようにしま
しょう。


もっと知りたい重機やトラックの事故事例

たくさんの書類
【その他車両の事故事例】
 いかがだったでしょうか?

 これらは、数ある事故事例の中の、ほんの一部分に過ぎません。また、対策や
原因もその環境により変化するため、多くの事例を把握しておく必要があります。

 なお、移動式クレーンだけではなくフォークリフトやユンボの事故事例を知り
たい方は以前記載した記事を掲載しておくので、参考までにご覧になってみては
いかがでしょうか?

○事故事例集
http://torack7.blog.fc2.com/?tag=物流事故事例集
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